理想の「場づくり」から始まる、
活き活きとした暮らし

――今回の座談会会場にさせてもらっている「SHARES」は、環境に配慮しながら居心地のよい場所をつくることにフォーカスしていて、「森道」もそれに近しいテーマがあると思います。同様に、お店を出されているお二人も、「場づくり」については考えていることがいろいろあると思うのですが、いかがでしょう?

セソコ
僕は常設店というかたちでお店を持ったことはないんですけど、去年、「移住」をテーマにした本を出して気付いたことがあって。それは、「人は本来、自分にとって居心地がいいと思える場所を持っていて、そこに行くことで活き活きと生きられる」ということ。人は街や自然との距離の取り方によって違った居心地の良さを覚えると思うので、より活き活きと暮らせる「場」で生きることは大切なんじゃないかと思います。

東京で働いていたときは、楽しかった一方、どこか心身に負荷がかかっていた感覚があって。沖縄に行こうと決めたのはその理由からなんですけど、実際に住み始めて、仕事をする時間と家事をこなす時間のバランスを取るようにしたら、どちらも自分が心地よく生きるために必要なものと思えたんです。だから今は、できるだけ仕事も家のことも均等に集中したいと思いながら暮らしています。

それから、環境のことで言うと、今沖縄で住んでいる物件も、DIYがしやすかったり、ゆくゆくはカフェにもできたりしそうな外国人居住区のコンクリ造りの家に住んでいて。何もないぶん、暮らしを自分でつくっていくことに心地よさを覚えているんですけど、でも昨日から家族で「SHARES」に泊まったら、自宅より全然快適で……(笑)。快適な設備、しかも環境にもいいってやっぱりすごいなあと思いました。

――太田さんはお店を持たれたこともありますよね。

太田
そうですね! ギャラリーがあったときは、その土地の魅力に引っ張られたり、展示するコンテンツによって印象が変わったりして、さらに訪れる人もその度変わっていくことがおもしろかったです。本当にいろんな方が見に来てくださったので。

「Cat's ISSUE」は決まった場所がなくても展開できるので、いろんな方法で販売しているのですが、それはそれで、場所がなくてもこれだけ存在が認知されたり、購入したりしてくれる人がいるんだなあと思って、それまで「場」ありきだっただけに、ギャップが印象的だったんです。

あと、個人的な「場づくり」についてはセソコさんの考えに近くて、私も好きな人たちと好きなことを仕事にしながら、ぜいたくな暮らしはせずとも、家族がいて、猫がいて、幸せに日々を送れたらと思っています。

改めて考える、出店者から見た「森道」の魅力

――最後に改めて、お二人から見た「森道」の魅力を教えてもらいたいです。

セソコ
僕にとっては一年に一度、いろんな人に再会できる場所なんです。東京で働いていたころに「もみじ市」のつながりで出会った人たちとか、取材で全国を回ったときに出会った人たちとか。いろんな人たちが日本中から集まってくる。

あと、出店者は2日間、ほぼお店に付きっきりなことが多いんですけど、ずっとその場にいるからこそ、雨上がりに太陽がパッと射して見たことないようなキレイな光景に出会えることもあるんです。いいイベントって、そういう不思議な瞬間がある。「森道」でもそういう景色が毎回見られています。

初日の夕方、土砂降りの朝を経て訪れた、まさに“マジックアワー”という夕焼け。

太田
私は岩瀬さんからオファーをいただいたとき、「当たれば儲かるみたいな利益優先な店は一個もないです!」って言われて、300店舗もあるのに利益優先の雑なクオリティな店は一つもないって、すごいことだと思いました。

私も企画展を開くときはアーティストや作品をキュレーションする立場になるんですけど、これだけたくさんの来場者が来るイベントで、それを賄うご飯や飲み物すべてにこだわりのある店をセレクトするって、信じられないくらい労力がかかっている。だからこそ、「森道」のファンは単なる夏フェス好きの人ばかりではない雰囲気が出ているし、環境がいい。去年出店してみて、「ああ、これはお金をかけてでも遠くから出店したくなる理由がわかるなあ」って、納得したんです。

こうして「森道」という場と日々を愛する、セソコマサユキさんと太田メグさんとの座談会は終わりました。

300店舗という数を聞くと、ただただ「多いな!」という印象ばかりが残るのですが、実はその「数」よりも「質」のほうが、もっと驚きが詰まっている。セソコさんと太田さんの話を伺っていると、改めてそれを実感しました。

ちなみに、僕が来場者として最初に受けた「森道」のカルチャーショックは、「ビールがなかなか売っていない!」というもの。ドリンクのみを販売しているお店だって、ハイボールの専門店だったり、自家製酒の専門店だったりして、こだわり抜かれたものばかりなんです。

でも、だからこそ出会えたビールのお店、聞いたこともないクラフトビールもズラリとあって、これがまた本当に美味しい! ビールひとつ取ったって妥協がない、これぞ「森道」! と興奮した瞬間でした。

「音楽フェスはちょっと……」と思われているみなさんも、「森道」であればきっと違った楽しみ方もできると思います。当日レポからの繰り返しになりますが、「森、道、市場」は、売り手が想いを込めてつくって、本当にオススメしたいと思ってお店に並べていることから溢れる、300以上の「好き」が集まる空間。その場が心地良くないはずがないのです。

ぜひ来年、足を運んでみてくださいね! それでは、また!

Profile
セソコ マサユキ

編集者。東京のちいさな出版社で編集者としてのキャリアをスタート。女性をターゲットにした写真雑誌「カメラ日和」、自然に根ざした豊かな暮らしを提案する「自休自足」の副編集長を経て、編集チーム「手紙社」に参加。書籍の編集、イベントの企画、カフェ、雑貨店の運営に携わる。2012年6月に独立し、自身のルーツである沖縄へ移住。紙、web等の媒体を問わず、企画、編集、執筆、写真などを通して沖縄の魅力を独自の世界観で表現し、発信している。

http://masayukisesoko.com/

Profile
太田メグ

ギャラリー・本屋・ラウンジという複合空間「SUNDAY ISSUE」ディレクター。現在はギャラリーを一時閉廊し、アートに関わるイベントのディレクションや、外部での企画展、商品プロデュース、アーティストマネージメントなどを行う。また自身の猫好きが昂じ、ネコ好きクリエイター達と共に猫への「偏愛」を発信するプロジェクト「Cat’s ISSUE」を主宰。これまでアーティスト、デザイナー、編集者、歌手など、さまざまなクリエイターたちとの展覧会やネコ新聞『The Cat’s Whiskers』、ECショップといったプロジェクトで、それぞれの過剰な愛を発信中。

http://cats-issue.com/